【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「いえ、大体のものはバッグにまとめてありますけど……。どうして急に今日引越しに? 明日の予定ですよね?」

 確認の意も込めて聞き返した。


「うん、その予定だったんだけどさ。こっちも迎える準備は出来たし、出来るだけ早いうちに引越した方が狙われる可能性も低くなるからさ」
「……」


 何だかもっともらしい事を言っているけど、本当だろうか?

 狙われる可能性が低くなるってのは本当だろうけれど、他にも理由があるんじゃ……。

 何か隠してる様な気がするんだよね……。


 じとーっと見つめてみる。

「ん? どうした?」
 ニコニコ笑顔が返される。

 まだまだじとーっと見つめてみる。

「ん?」
 天使の笑顔が返される。

 更にじとーっと見つめてみたけれど……。

「ん?」
 何だかスッゴイ笑顔で押し通された。


「イエ、何でもないです……」

 結局根負けしたのは私の方。


 この様子だとちゃんと聞いても答えてくれなそうだな。
 もしくは、俊君が言った様に後で田神先生から話があるからと言われるか。

 何にせよ、色んな疑問は後で纏めて聞いた方が良いかもしれない。


 諦めた私は「荷物取ってきます」と言い残して家に向かった。



 そのとき、丁度玄関のドアが開いて見知らぬ老紳士が出てくる。

「っ……」

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