年下彼氏の結婚指導
 とはいえ若干の羞恥が込み上げるも、不思議と気持ちはすっきりとしていた。或いは、もしかしたら自分は元彼と翔悟を重ねてしまっているのかもしれない。
 
 懐かしいような、戒めのような。
 普段吐き出せない職場の愚痴を、お酒に背中を押され消化しているのかもしれない。
(ま、いいか)

 何となくだが翔悟は他人のこんな話を言いふらすようには思えなかった。
 仮に広まったとしてもそれは自分の過失でもあるし、それこそ男を見る目が皆無という話でしまいだ。

 チラリと様子を窺うと、翔悟は難しい顔のまま黙り込んでしまっている。やっぱり余計な事を話してしまったかなと苦笑しつつ、何か言いたそうな翔悟の言葉を遮り、そろそろ帰ろうと促した。

 けれど引き留められるように強く手を引かれ、華子は翔悟を振り仰いだ。
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