年下彼氏の結婚指導
08.
 月曜日、火曜日と平静を装って。週の真ん中、水曜日。
「翔悟君、そろそろ休憩行こう?」
 気付けば後ろ手にポシェットを持った結芽が、すぐ近くで首を傾げていた。

 週末の出来事を払拭すべく、仕事に熱中していた華子は時計を見て目を丸くした。
「わっ、ごめんね廉堂君、行って。お昼」
 そう見上げると翔悟はふっと息を吐き出して苦笑した。
「はい」
「ねえねえ、今日楽しみにしてたんだよ〜?」
 嬉しそうに笑う結芽に、翔悟は財布を取りに行くと踵を返した。
 ……どうやら二人の仲はちゃんと進展しているらしい。
 自分はもう、あれから余計な会話は一切していないというのに……
(いや、私が言ったんだし……)

 よくわからない葛藤に苛まれていると、結芽が華子の耳元でコソッと囁いた。
「今日はランチデートなんです」
 反射的に顔を向ければ嬉しそうに肩を竦める結芽と目が合った。
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