白虎の愛に溺れ死に。
匡は仕事だから…私が恩人である組長の娘だから…仕事として相手をしているだけ。
お互いの唾液を共有するような熱いキスも、体が一つになったように錯覚する熱いセックスも…、仕事のできるこの男が作り出したお嬢の夢物語でしかないんだ。
「匡、…匡っ、あ、好き…好き、んぅ…」
「ん?…これですか?…好きですよね、お嬢、クリイジられながら腹の裏ぐりぐりされんの。」
「あ、…ちがっ…ひゃ…っ」
昂ぶって、つい心の声を漏らしても、匡が気持ちを返してくれることはない。
私の気持ちなんてとうの昔に気づいているくせにこうやって鈍感なふりをして逃げるんだ。
匡は女の気持ちに気付けないほど馬鹿な男じゃない。女に好意を寄せられたら、それとなく、しかしながら容赦なく壁を立てて遠ざけてきた場面を幾度かこの目で見てきたから分かる。
メリットがあれば抱く。メリットがなければ面倒はごめんだと言わんばかりに容赦なく切る。
それが、裏の世界で“氷の白虎“と恐れられる、この虎城匡という男で。
匡にとって、私を抱くことには大きなメリットがある。
組長の娘である私に気に入られれば、将来の若頭、そして組長の道まで見えてくるのだから。
匡は私が欲しい“快楽“をくれる。でも、私が本当に欲しいのは“愛”だと知りながら、それを知らんぷりするんだからひどい男だ。