白虎の愛に溺れ死に。



「ほら、着きましたよ莉音さん。」


「ん、匡…もう行っちゃうの?」


「まあ、この後20時には出ますけど。」


「じゃあ、家出るまで一緒にいて。」


私の部屋まで到着して、優しくベッドに下ろされた私は彼の腕に纏わりついて、無理矢理彼をふかふかのベッドの中にひきづり込む。


さっきまで足腰立たずに匡に抱えられていたくせに、もうすぐ匡が仕事で不在になると知れば、共にいられる時間が惜しくなる強欲な私。


私の隣に腰を下ろして私の顎を人差し指と親指で挟んだ匡はまた困ったように笑って、私を甘やかすように優しい声を吐き出した。



「…。また欲情しちゃったんですか?」


「…だって、車じゃ声我慢して集中できなかったんだもん。」


「ふふ、出来てましたかねぇ?声、我慢。」


「うるさい、…とにかく、もっと匡を頂戴。命令。」


高飛車なお嬢さま、そう思われたって仕方がない。


いつも上から目線で命令して、わがまま放題で…こんなんじゃいつか匡に見捨てられるんじゃ…って、後で不安になるくせに、


「仕方がないですね…俺のお嬢は。」


「…早く、気持ち良くして。」


「はいはい。結局あとで体力尽きて泣くくせに。懲りませんねぇ」


「あんたがこんな風に育てたんだから、…責任持て。」


「ふふ…責任ね、了解です。俺、莉音さんの命令には背けませんからね。性処理だけは…他のお付きには頼んじゃダメですよ?」


「…分かってるわよ。ばか…」



こんな私でも匡はいつも変わらず笑って受け入れてくれるから…、私はいつまでもこの“お嬢“と“世話係“という立場を辞められない。
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