白虎の愛に溺れ死に。
「匡、ごめんなさい…、ごめん、…ふっ、うう、」
「……」
「ううっ、ク、ごめん、なさ…ヒッ、ク、
謝るから…嫌いに、ならないで…ぇ、やだ…匡、嫌いって、言わないで…」
「………、あああ、もうっ、」
子供のように泣きじゃくって、見せたことないほどにぐちゃぐちゃな姿を晒す私に、匡は痺れを切らしたように声を上げて強く抱きしめた。
「…約束の時間に、莉音さんが来なくて…GPSも途中で途絶えて、」
「…、」
「どれほど…、どれほど…心配したか分かりますか…、」
「……あ、…」
ガタガタと震えている声に…ようやく気がついた。
私の隣にいる匡の体がこの車に乗った時から震えていたこと。
その震えは、怒りからなのか、恐怖からなのか…それは分からないけれど、私のせいであることだけは分かって…。
「ご、ごめん…匡、」
「……もういい、俺の方がごめん。もう謝らなくていいから。」
「でも…」
「余裕なくて悪い。一番怖かったのは莉音なのに…、ごめん。莉音が今ここにいるだけで…十分なのに。」
匡が私をさらに抱きすくめた。存在を確かめるように、優しく、でも強く。
「車に乗せられそうになってる莉音を見つけた時、…死にそうだった。」
「…」
「このまま、連れて行かれたら…あと一歩、遅かったら…って。」
抱きしめる腕を少しだけ緩めて私を至近距離で見つめる青い瞳は悲しく揺れて、私の安全を確かめるように何度も優しく頬を撫でる。