白虎の愛に溺れ死に。
「わ…、すごい…綺麗。」
「ほら、丁度夕焼けが見れましたね。」
部屋のドアを開ければ、景色を一望できるガラス張りのお部屋で、ビル街の奥に広がる夕焼けが室内を赤く照らしていた。
すごいすごい、とはしゃぎながら私が一通り部屋を探検し終わると、「莉音さん、こっち来てください。」とテレビの前に置かれたソファーに腰かけた匡が私を呼んだ。
言われた通りに匡に近づき、彼の隣に腰を下ろそうと思ったのだが、突然グイッと引かれた腕にそれは阻まれ、私のお尻の位置は匡の脚の間。
後ろからぎゅう、と抱きしめられて…今まで私からねだってしてもらったことはあっても、匡からこんなふうに触れられることはなかったから戸惑ってしまう。
「莉音さん、何で今日俺が時間くださいって言ったか分かりますか?」
「…なんと、なく。」
「テツの馬鹿がお嬢に漏らしたんですよね。昼間聞きました。」
「…」
「今日すっぽかしたのは…それで?」
「…」
気まずくて、本当はこの話を聞きたくはないけれど、逃げても無駄なことは分かっているから仕方なく頭を縦に振った。
お腹に回した腕にぎゅっとわずかに力を入れた匡は、
「俺、結構ショックだったんですよ?莉音さんにとって、この件はどうでもいいことなのか、って。」
少し寂しそうな声色で、私の肩口にぽすっとおでこを引っ付けた。
どうでもいい…訳がない。何でそうなるんだ、馬鹿。
「……、違うだろ、ばか。どうでも良くないから…逃げたんだ。」
「…、」