白虎の愛に溺れ死に。
「匡が出世するのも、自分の組織を持つのも…匡にとって喜ばしいことなのに、私のこと置いていくんだって思ったら、全然喜べなくて、応援できなくて…何なら“薄情者“なんて、ひどいこと思っちゃって…」
「…ん、」
「匡からこの話を聞いたら、さらに現実味増すし、すごくひどいこと言っちゃいそうだし…、泣いちゃいそうだから、やだったの。」
「…そう、ですか。」
二人きりの部屋に、匡の心地いい相槌が響く。
体を包むこの温もりも、優しい声も、匂いも…全部なくなるなんて、耐えられないって改めて思ってしまう。
「残念だな、それは…」
「…っ、」
そんな言葉とともに匡の腕が私から外されて、お腹の辺りがひゅっと冷たくなった。
このままいなくなってしまうんじゃないかと急に不安になって、「匡…、っ」と名前を呼びながら慌てて振り返ると、
「莉音さん、酷いですねぇ。」
「…っ、」
「俺の忠誠心を甘く見ないでください。」
「匡…、なに、これ…」
戻ってきた彼の手が私の左手を掴み、薬指にゆっくりと通したのはシルバーのリング。
中央に置かれた大きなダイヤに夕焼けが反射して、赤く輝いた。
「テツの馬鹿が早とちりして、変な勘違いさせたみたいですね。」
「…、」
「誰が置いていくって?馬鹿ですか、そんなことするわけないでしょ。」
「きょ、…お、」
振り返って、匡を見上げるけれど、涙で前が見えなくなった。
彼の美しい顔を拝みたいのに、視界がぼやけてしまってどうにももどかしい。