白虎の愛に溺れ死に。



「莉音さんを次期若頭の妻にする。親父は莉音さんが産まれた時からそう決めていたそうです。」


「…そ、そんなの…私、知らないし…」


「でしょうね、舎弟の中でも若頭候補にしか伝えられていない情報ですから。」


「…そんな…、」


ぽたっと私の瞳からこぼれた大粒の涙を見てフッと微笑んだ匡は、指輪のついた私の左手を大事そうに撫でながら再び口を開く。



「悲しいですか?…ショックですか?自分の知らないところで将来の相手を決められて…」


「…」


「でも、俺はラッキーだと思いましたね。ただの世話係の俺が、組長の娘である莉音さんを堂々と自分のものにするにはそれしかないって。」


「…っ、」


懐かしいそうに目を細める匡は私の左手に自分の左手を絡め、後ろから、ゆっくりと感触を楽しむような優しいキスをする。


何度か角度を変えて重ね合わせて、ゆっくりとお互いの瞳が開かれた時…。


「俺はね、ずっと待ってたんですよ。虎視眈々とこの時を。」


「…匡、」


「若頭も、自分の組織も、俺にとってはただのおまけです。俺が欲しいのはただ一つ。」


「…、っ……」


「莉音さんだけですよ。」



夕焼けを背負って、青い瞳が愛おしそうに私を見下ろす。


それが夢みたいに幸せで…。



「…ふっ、…うぅ、」と嗚咽を漏らして泣き始めたら、



「今日、泣き虫だね。」って匡は瞳からこぼれ落ちた大粒の涙をちゅっと吸い上げた。




「莉音さん、…俺に、付いて来てくれますか?」


「…ん、」


「もう、辛い目には遭わせません。俺が一生守ります。」


「…ぅ、…うん、」






「俺の妻に…なってくれますか?」


「…はい、…なります…っ、」





私は匡以上に美しい男を見たことがない。


匡以上に優しい男も、たくましい男も…匡以上に、最高の男は…この世に存在しない。



だから、そんな彼の妻になれる私は…


きっと、この世で一番幸せな女なんだ。


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