白虎の愛に溺れ死に。
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食後、キッチンで食器を洗っていると、「莉音さんはこういうことしなくていいって言ったでしょ?」と背後から肩に顎を乗せられる。
声と匂いで振り返らずとも誰か分かる人物を無視して食器を洗い続けると、後ろから伸びてきた手が私の手首を掴み、無理やり後ろを向かせた。
濡れる指先を近づけて、そこに唇を当てる彼にゴクリと喉を鳴らせば、青い瞳が私を見下ろす。
有無を言わさないその瞳に飲み込まれそうで、思わず目を逸らした。
「……匡、邪魔しないでよ。」
「お嬢の手、荒らすわけにはいかないんで。」
「もう…お嬢じゃないし…」
「そうだけど、そうじゃない。
嫁になっても、俺にとって莉音さんはやっぱり可愛いお嬢で…簡単に区切れるものじゃないんですよ。」
「……」
ずるい。
「もう世話係じゃないんで」とか言うくせに、都合良く私をお嬢扱いしたりもする。
本当に、匡ってずるい大人。
…でも、
「莉音にさせるくらいなら俺がやる。…そこに座って待ってな?」
「……、」
結婚しても変わらず私を甘やかしてくれる…その優しさが、いつも新鮮に私をときめかせる。
…ああ、なんで匡は分かってくれないんだろう。
今まで「お嬢」の私を支えてくれた匡の妻になったからこそ、「良き妻」になって今度は私が匡を支えたいのに。