白虎の愛に溺れ死に。




腹下に回した手がグッと私を引き寄せて、シンクから遠ざけようとするけど、私は頑なにそこを退かなかった。


困ったように「莉音さん…」と名前を呼ぶ匡を顔半分で振り返り、匡に掴まれていない方の手でスポンジを掴んだ。



「ここが相撲部屋なら私、女将さんでしょ?匡の奥さんになったんだから…ちゃんとしたいの。今までは守られるだけの人間だったけど、これからは支える側の人間になりたい。」


「……」


強い意志を込めて、今の気持ちを青い瞳に伝えた。


すると、匡は「はぁ、」と短いため息をついて私を抱きすくめ、「親父譲りの頑固者だからなぁ」と独り言のように小さく呟く。



「皿洗いとか雑用は…下の連中にさせれば良いでしょう?クオリティに不満があるなら手伝いを雇いますって。」


「違う、そういうことじゃないの!私が、匡の奥さんとして頑張りたいだけなの!なんで分からないのよ。」


「…はぁ、また可愛いこと言って…。
…分かってますよ。分かってるけど、嫌なんだって。」


「…え?」


「そうやって俺のために頑張ってくれんの嬉しいけど、俺はこういうことさせるために莉音さんを嫁にしたかったわけじゃないですから。」



「…っ、」



今度はスポンジを持った右手まで囚われて…、成すすべなくぐるりと体を反転させられた。


拳一個分の距離までグッと顔を近づけてきた匡は、瞳の奥に語りかけるように形の良い唇をゆっくりと動かす。



「俺はね、…全世界に莉音さんは俺の女だ、って示したくて籍入れたんですよ?」


「…っ、」


「家に帰ってきたら可愛い嫁が出迎えてくれる、それだけでどんだけ俺の支えになってるか…まだ分かんない?」


「…きょ、ぉ…」


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