白虎の愛に溺れ死に。



180を超える身長に、程よく筋肉のついたガッチリとした背中。
息を呑むほどに美しく整えられた彫刻のような顔面に、ビー玉をはめ込んだような青い瞳。


私は、生まれてからこれまで、匡以上に美しい男を見たことがない。


そんな男が10の歳から毎日、四六時中、一緒にいるのだ。


必然的に私の男性への評価基準はエベレスト級になり、中学高校時代、校内で人気の男子生徒に告白されても一切靡くことはなかった。


私は匡が良くて、匡だけが欲しくて…。


思春期を迎え性に対する興味が出てくると、さらに匡に触れたくて、触れられたくて仕方がなくなって。


中学3年、受験を控えた12月の夜だった。


勉強を終えてベッドに入ったはいいものの、その日はどうしても眠りにつくことができず、隣の部屋にいる匡を呼んだ。


子供の頃から怖い夢を見るとすぐに匡を呼んで添い寝をしてもらっていたから、一緒に寝るのは特に珍しいことでもなく。


その日も匡は嫌な顔せず私を後ろから抱きしめてベッドに入ってくれた。


でも、いつもと違ったのは私が次の日大事な模試を控えていたこと。


「匡、寝たいのに…寝れない。」


「…困りましたね。いつもだったら、こうやって頭を撫でていたら寝てくれるんですけど。」


「それいつの話?子供の頃でしょ?」


「…」


顔だけ振り返ると、窓から差し込む月明かりが匡の青い瞳に反射して幻想的に光る。


それを見ると胸が疼いて、体が疼いて…すでに抱き合ってそばにいてくれるのに、もっともっと近づきたくなった。

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