白虎の愛に溺れ死に。
ー匡sideー
16の時。
毎日つまんねぇし、ダルいし、生きてる意味あんの、死にてぇ…って、常々思ってた。
16の時?…いや、違うな。生まれてからずっと、俺はそんな感じだった。
外国人専門の娼婦だった母親が客のフランス人に無理やり孕まされた結果、産み落とされたのが俺だった。
ガキの頃から母親と過ごした記憶はほとんどなく、あるのは廃墟のようなオンボロアパートでだだ呆然と天井のシミを数えていた記憶だけ。
毎度毎度、「お前のせいで働きづらくなったんだ…!」と叫んで、金もおかずに家を出て行く母親は、数日後に男連れで帰ってきたと思えば、幼い息子が目の前にいるにも関わらず、何の躊躇もなく連れてきた男とおっ始めるのだ。
そうなるともうどうしようもなく。
ワンルームの部屋では隠れる場所もないから、とりあえず毛布を頭からかぶり、母親のけたたましい喘ぎ声を聴かないように必死に耳を塞いでいた。
…ある時、いつも通り金も置かずに出ていった母親が1週間経っても帰ってこない日があった。
流石に空腹に耐えかねて、近くにあったコンビニでおにぎり一つを盗んだのだが、
…そりゃまあ、まだ小学生にもならないガキが一人で店内を彷徨いていれば店員だって気にしないわけがない。
ポケットにおにぎりを突っ込んだ瞬間に店員に声をかけられ、レジの奥の扉から事務所に連れて行かれた。
「お母さんは?」と聞かれ、「いない」と答えた。
「お腹空いてるの?」と聞かれ、店員を睨んだまま頷いた。
すると、店員は眉を下げて笑い、「それ、お兄ちゃんが奢ってやるから食べな?」って頭を撫でたんだ。
今思えば、ただの同情だったんだろう。
深夜、ガリガリにやせ細った子供が一人でコンビニに来て、母親はいないと言う。そんな場面に立ち会えば、大抵の大人は優しくしてくれるってもんだ。
でも、俺はそんな優しい人間に出会ったことなんかなくて。
このおにぎりには毒が入ってるんじゃねぇかって、しばらくの間疑ってた俺はその頃から捻くれていたのかもしれない。