白虎の愛に溺れ死に。
「匡、…匡、ぅぅ…うあっ、」
掠れた声でなおも鳴き続ける莉音を強く強く抱き寄せた。
「莉音さん…、俺が、…俺はずっとそばにいます。」
「…ふっ、ぁぁあ、っく、」
「だから、沢山泣いて…ちゃんと心に刻みましょう。」
莉音の中にある、綺麗な記憶を守りたかった。
初めて味わったであろう辛い記憶も大切に心に刻んで、それもまとめて俺が守っていきたいと思った。
その頃にはとっくに“世話係だから”とかそんな概念は消えていて、ただ単純に青海莉音という人間を守っていくことが俺の生きる目的になっていた。
それが家族愛なのか、恋愛感情なのか、そんなことは考えたこともなく、今まで無意識下で欲していた愛情を埋めるように、全てを超越する彼女への愛情。
守りたい、可愛がりたい、大切にしたい、幸せにしたい。
その延長線上で独占欲が生まれるのは自然な流れで…、
彼女を妻にしたい一心で、若頭にまでなるんだから、我ながら自分の執着心に引くわ。まじで。
結婚してからの莉音は、今までのわがままお嬢様ぶりが嘘みたいに大人しくなって、それはそれで見ていて楽しい。
奥さんになったんだからちゃんとしなきゃ…ってそういうのバレバレなところがいじらしいし、可愛いじゃん?
そんな彼女をおちょくるように“素敵な奥さん”を邪魔するのが最近の俺のブームで、最初は嫌がるふりをするくせに、すぐに流されて俺の良いようにされてしまう莉音が愛おしくてたまらない。