白虎の愛に溺れ死に。




長年の我慢のせいか、この家に越してきてから自分が相当浮かれている自覚はあって、莉音を散々鳴かせた末に、「ああ、またやりすぎたな」って反省する毎日。


でもさ、あいつ俺を煽るの超絶うまいの。


さっきまでヘトヘトで「ごめんなさい、もう無理」なんて号泣してたくせに、数分経って体力が戻ると「またしたい」なんて煽ってくるから本気でこいつアホなのか?って神経疑う。



昨日だって、キッチンでも風呂でも散々可愛がってやったのに、ベッドでも戯れついてくるから相当困ったんだけど、流石に彼女の体を想って丁寧に寝かしつけ、彼女が健やかな寝息を立て始めたのを確認して俺も目を閉じた。



そして、翌日。


カーテンの隙間から差し込む朝日に照らされて目を開くと、俺の腕に擦り寄りながら、普段より少しだけ幼い寝顔を見せる莉音。


朝起きて、初めて目に入るのが彼女であることが幸せで、ついフッと笑みをこぼしながら柔らかそうな頬を指先で擦ると、「んん…」とくすぐったそうに眉間に皺を寄せる顔が可愛らしい。



「…きょ、ぉ…」


「あ、起こした?ごめん。」



ゆっくりと開いた目はまだ眠たそうにとろんとしていて、謝りながら頭を撫でると次の瞬間、ふわりと花が咲くように莉音は柔らかく微笑んだ。



「…へへ、おはよ、匡。」


「…ん、おはよ」


「ふふっ、朝起きたら、匡がいるの…相変わらず…嬉しい。」


「………」



寝ぼけているのか、辿々しく鼻にかかった声で呟く莉音の破壊力は朝から凄まじい。


はぁ…本当、朝から可愛い。俺の莉音ちゃん。



小さくため息をこぼしながら強く彼女を抱き寄せると、機嫌のいい莉音は猫が甘えるように胸に擦り寄ってくる。



こんな時間が幸せで、幸せすぎて怖いくらい幸せで。



色んなことがあった過去。何度も生きることを諦めかけた過去。


…本当に…生きていてくれてありがとう、って心から過去の自分に感謝した。

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