白虎の愛に溺れ死に。
寝ている間に世界が変わる。
それはとても恐ろしいことで…未だに彼女の中にトラウマとして残っているのかもしれない。
彼女の気持ちを押し図れば、自然と胸が苦しくなる。
彼女の不安を少しでも和らげたいと、優しく背中を撫でている自分なんて、昔の俺には全く想像できなかったな…と少しだけおかしかった。
「俺もさ、自分の組持ってるくせに、こんなこと言ったらダメなんだろうけど…俺は莉音と一緒にいるために生きてるよ。」
「…え?」
「いつかしわくちゃのジジイとババアになっても…俺は変わらず莉音を可愛がるし、莉音も変わらず俺のこと好きでいて?」
「…匡、」
俺に生きる意味をくれたのは莉音だから。
莉音のためなら死ねるけど、俺がいなくなったらお前はきっと寂しがるから…だから、莉音は俺の生きる意味で、死なない意味でもあるんだ。
「夫婦になっても莉音の世話をするのは俺の役目だから…意地でもお前より先に死なないよ。」
そう伝えると、莉音はポロリと一粒涙を流すから焦る。
朝の莉音は情緒が不安定で、さっきまで甘えていたと思えばすぐに不安になって泣き出したりもする。
だから、ゆっくり手間と時間をかけて慰める。
それは俺にしかできない、俺だけの使命だから、全然嫌じゃないし、愛おしさしか感じない。