白虎の愛に溺れ死に。
「…匡は、…プール入らないの?」
「え?」
「…怒らないよ。ビニールプールじゃ溺れないから…抱きしめてくれないの?」
「…、」
匡の腕に絡みついて振り返りざまに彼を見上げれば、余裕たっぷりだった表情がキョトンと固まる。
そしてそれから、はぁ…と深いため息をついて。
「…なあ、それは…相当殺し文句じゃない?」
「…」
私の左手からカクテルの入ったグラスを取り上げ、プールの外に置いた匡はジャプ…と音を立てて私の背後に入水した。
「一晩でプール用意したのだって、莉音の水着姿見たいからに決まってんだろ?」
「…そうなの?」
「必死でダサいでしょ」
「ううん、ダサい匡も好き。」
「…おい、ダサいは否定しろよ」
ちょっと落ち込んだ声を出した匡がおかしくてケラケラ笑うと、「こら」と両頬を軽くつままれた。
冷たい水の温度と共に肌に伝わる匡の熱。
心地よくて安心して、でも、それと同時にドキドキと胸が高鳴る。
「ね、水着も匡が選んだの?」
「ん、莉音に似合うでしょ?」
「えへへ、似合うと思って選んでくれた?」
「当たり前。まあ、なんでも似合うけどね、俺の莉音ちゃんは。」
そう言って、後ろから回った手が私の顔を横を向かせると同時。
匡は私の唇に触れるだけのキスを落とした。
背中がレースアップになった黒い水着。
可愛さと大人っぽさが合わさったようなデザインで、私の好みのど真ん中。
匡と私の好みが一緒なのか、それとも匡が私の好きそうなのを選んでくれたのか…どちらが本当かは分からないけれど、
…好きな男に選んでもらったものを身につけられることに喜びを感じる私は、自分の意思がない、つまらない女だろうか?