白虎の愛に溺れ死に。
「ね、匡は…脱がないの?」
「ん、俺?」
体を捩って匡の胸元に擦り寄りながら尋ねると、とぼけるように首を捻る匡。
猫が甘えるみたいに身を寄せながら、「Tシャツ、脱いでよ。私ばっかり水着なの嫌だ。」と彼を見上げると、
「俺の裸見たいんですか?破廉恥に育ちましたねー莉音さん?」
なんて、クスクス笑いながらおどけてくる。
…もう、そんなんじゃないのに…。
精一杯のおねだり、精一杯の誘惑を無碍にされて、ムッと唇を結べば、「あー、いじけないで、お嬢?」とまだ笑いながら私の両頬を片手で潰してくるから気に食わない。
「いいから脱ぎなさいよ!プール楽しむ気ある?何のための庭プールなの?刺青気にしなくてもいいようにでしょ?!」
「ははっ、そんなに怒んないでくださいよ。誘惑してくる莉音さんが可愛くてちょっとおちょくっただけでしょ?」
「…、お。おちょ…って、匡が私をおちょくっていいと思ってんの?」
「んー、いいんじゃない?もう世話係じゃないし。俺の奥さん、揶揄いがいあるし。」
「…っうぷ、…匡!」
ニヤッと笑った匡は筒状にした両手を水面に沈めると、私めがけてぴゅっと水しぶきを上げた。
見事、顔面に命中。
びしょびしょになった顔面に固く目を閉ざしてから、怒りの声を上げて振り返ると…
「…、」
「莉音さんの言うこと、聞かないわけにはいきませんからね。
「…抱きついてもいい?」
「はい、もちろん。俺は莉音さんのものなので。」