白虎の愛に溺れ死に。
ギギギ、と音がしそうなほどぎこちなく声の方向に振り返れられば、そこには分かっていたとおりの人がいて。
「…なんで、莉音がここに居んの」
「…えっと、その、」
私の方こそ知りたいよ。なんで匡がここにいるの?!
回らない頭では中々状況が読み込めないけれど、大きく開いた襟から溢れそうな胸、大胆なスリットからはみ出る太ももに触れている中年男性の手。
「……とりあえず、なんで居るのかは置いておいて…」
「…」
「どういう状況?説明して」
「…」
ビンビンと殺気を放つ青い瞳はこんな時でも綺麗でそれがまた怖さを増幅させる。
やばい、どうしよ、やばい、どうしよ…と頭の中で繰り返すだけで、言い訳のひとつも出てこない馬鹿なお頭に泣きたくなった。
「あら匡ちゃん!来てくれたの?」
「…ママ、この子、」
「ああ、RIONちゃん?今日から短期で入ってくれることになったの。テツくんの紹介で。」
「…へぇ、テツか」
…あああ、テツごめん。もしかしたら指の1本か2本持っていかれるかも。
「ママ、人足りないって聞いたから他の店に頼んで何人か来てもらったから。」
「あらそうなの?」
「匡ちゃんありがとうね」と続けたママに口角を吊り上げて笑顔を作った匡に少しだけ安心したのも束の間。
「…じゃ、RIONは俺がもらっていくけどいいかな?」
「え?いいけど、匡ちゃんもRIONちゃんのこと気に入ったの?まあ、美人だものね。」
「ああ…そうだね。美人すぎるから困る。」
ボソリと呟かれた声はママには聞こえなかったらしく「え?」と首を傾げてる。
それもそのはず。今のは私に向かって言ったのだ。恐ろしく冷たい目で「お前、何やってんだ」って。