磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
怒りに全身を支配されていた真海は我に返ると殴られた悠馬の前に座り『大丈夫!?』と声をかけようとするがその言葉を発する前に彼が両肩を掴んできた。

「何かされたかっ!?」
「痛っ!」

悠馬の勢いが激し過ぎてテーブルの脚に後頭部をぶつけてしまう。

「あっ!ごめん!」

悠馬は真海の後頭部を分厚い手で優しくさすった。無理矢理キスされたことを思い出した真海は悔しさと悠馬の手の温かさで涙をこぼした。手で唇を強く何度も擦る。

「ま、さか・・・。」

そんな真海の様子を見て悠馬は『くそっ!!あいつっ!!絶対ゆるさねぇ!!』とコンクリートの地面に拳を激しくぶつけた。

「やめて!もうバカじゃないの!無駄に怪我するでしょ!顔は?ごめん、私のせいで殴られて・・・。」

真海は頬を涙で濡らしながら悠馬の拳を両手で包む。

「お前のせいなわけねえだろ!軽くかすっただけだよ。ちょっと押しただけで地面に倒れるような軟弱なやつのへなちょこパンチよけきれないなんて俺も衰えたよな。」

悠馬は真海の両手を自分の両手で包み返し、涙で潤んだ彼女の瞳をじっと見つめた。

「消毒する。隅から隅まで。」
「え?・・・!!」

唇が触れた途端、無意識に彼に全てを委ねた。とても丁寧で慈しむようなキスに真海は心の中まで解毒されていくように感じた。

───北岡に出逢えて本当によかった。救ってもらった。私は彼に何が出来るかな・・・。

彼女の瞳から流れる涙から悔しさの成分は消え、悠馬を想う気持ち100%となったのであった。
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