磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「あんたはどうしてここに?」

悠馬の力強い腕に包まれながら真海が問いかける。

「いつものラーメン屋で飯食って今までだったらすぐ会社に戻って昼休み中に仕事始めんのに、今日はなんだかこの公園に来たくなって散歩してたんだ。花綺麗だなとか思っちまって、なんだか自分らしくねえなって思ってたんだよ。そしたらなんか胸騒ぎがして ・・・。」

「そうだったんだ・・・。」

なんだか運命的なものを感じてしまい感銘にふけっていた真海の目の先に公園の時計が見えた。ハッとして自分の腕時計を確認すると『やばい!』と叫びながら勢いよく立ち上がり服の土を払う。

「どうした?」

「今日午後イチでミーティングでしょ!時間やばい!走らないと!」

「おおっ!そうだったな。」

悠馬も慌てて立ち上がる。そのまま走り出そうとするので真海は『ちょっと待って!』と彼を止めてしゃがみ込み腰や脚に付着した土を払ってやる。

「んなもんいいよ!時間ねえし。」

「公園で遊んできた小学生みたいに汚れてる状態でミーティング出るわけにいかないでしょ!前は?」

真海はしゃがんだまま悠馬の前に回ると『ほら~汚れてるじゃん。』と太ももやひざ、ふくらはぎの土を払ってやる。ふと視線を感じると悠馬の濃い視線を感じる。

「な、何!?」

「俺の彼女可愛いなって思って・・・世界一だなって・・・。」

「はっ!?何言ってんの!?こんなんでいいや!行こ!」

真海は頬を染めると最後に悠馬の太ももを強めにバシッと叩いてあずま屋を出た。
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