磁石な恋 ～嫌よ嫌よは嫌なだけ？～
「北岡さん達遅いですね。やっぱり今日は道が混んでるんでしょうか。」

アシスタントの彩木(あやき)が心配そうにチームリーダーの葉吉(はよし)に話しかける。この二人は9月に入籍しており、翌年春に挙式が予定されていた。

「そうだな。今城(いまぎ)さん、悪いけど北岡(きたおか)に連絡してくれるか？」

「え、私ですか？」

そう聞くと葉吉は意味ありげに頷いた。悠馬と付き合っていることは既に伝えていたので真海の気持ちを汲んでくれたのだとわかる。

上司の気遣いをありがたく感じ目でお礼を言った真海がデスクの上の電話に手を伸ばした時ちょうどその電話が鳴った。

「株式会社ハコイリギフト商品企画部でございます。」

「 真・・・今城か？俺、北岡だけど。」

「 あ、北岡？ちょうど今電話しようとしてた。遅いけど大丈夫？」

葉吉達にも聞こえるように声を張り気味で問いかける。喧嘩中ではあるがあくまでも同僚として接した。

「・・・今、日野さんとホテルにいるんだ。」

悠馬は神妙な様子で答えた。
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