磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「どうしたんだろ?」

真海はソファから起き上がり、悠馬が出ていった出入口まで行くとICカードをかざす。解錠された音がしてドアを開こうとした瞬間、そのドアが勢いよく開いたので尻もちをついてしまう。

「メリークリスマース!」

悠馬が陽気な声で言って室内に入ってきた。おなじみの赤と白の服に帽子、鼻下とあごに白ひげまで蓄えており、手に持ったスマホからは子ども達が元気に歌うクリスマスソングが流れている。

「あれ?真海?なんで座ってるんだ?」

「あんたそれ、会社に持ってきたの?」

「おう、一刻も早くお前の家に行きたかったからよ、一回家に帰るのも嫌だったし。」

「ぷっ!なんか今日妙にカバンぱんぱんだなと思ったらそれか!」

「そうだよ。演出どうしたらいいかネットで調べたら音楽かけたらいいって。」

「いや、いいんだけどさ、それカップル用のクリスマス情報じゃないかも。カップルだともっとムーディーな音楽だったり、キャンドルだったりするから。子どものクリスマス会用のやつじゃない?」

「え!?俺、また間違えた!?」

おじいさんになった悠馬があわわとなっている。

「ぷっ!あはは!」

「笑うなよ・・・。」

「私、今日のこと絶対忘れない。子ども出来たら話す・・・あ。」

真海は慌てて口を塞ぐ。しかしその言葉は既に悠馬に伝わってしまっていた。

「それって俺達の子・・・。」

「あっあああぁ、サンタさんだぁ!」

真海は悠馬の言葉を遮って棒読みで言うが悠馬はスルーしてはくれなかった。しゃがみ込んでぐいぐい迫ってくる。
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