磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「パーティーは楽しく終わって子ども達へのプレゼントも枕元に置いて、さぁ大人の時間だ、と思ったら、妻へのプレゼントを会社に忘れてきてしまったことに気づいて真っ青になりました。宅配便なので妻にバレないように会社近くの郵便局留めにしてたんです。」

「おお、そうだったのか。」

「妻は今日じゃなくていいよ、と言ってくれたのですが、今日は結婚記念日でもあるのでどうしても日付が変わる前に渡したくて。」

「だからメガネ曇るほど焦ってきたんだな。」

「はは。そうなんです。久しぶりに走ったら足がもつれて転びましたよ。若いカップルに見られて気まずかったです。」

島田はメガネを拭きながら苦笑いをした。

───家族って、結婚ていいな。俺も真海と温かい家庭を築きたい。

「嫁さんきっと喜ぶな。」

「そうだといいんですが。妻は愛犬家ですから本当はあのブランドのペットとお揃いでつけられるアクセサリーをプレゼントしたかったんです。毎年100個限定の。北岡さんも猫お好きだからご存じですか?」

「!?俺は知らねえな。うん、全く、1ミリも知らねえ。へっ、へぇー、そんなもんがあるのか。へー、ほー。」

「今年も例年同様争奪戦すごかったみたいです。ネットで予約とかできないんで店舗の前に並んで買うんですけど前の晩から徹夜して並んだ人とかいたみたいですよ。テレビでやってました。妻を喜ばせたいとは思いますが僕はさすがにそこまでは・・・。」

「ほ、ほーう、俺には全然想像できない世界だな。うん、徹夜で並ぶなんて、いやーそんなやつもいるなんてびっくりだわ、うん、俺とは全然、 全く、関係ない。」

真海は悠馬の様子がちょっとおかしいことに気がついた。

「じゃあ俺行きます。お疲れ様です。」

「おお、もう転ばないように気をつけろよ。」

ロッカーからプレゼントをとった島田を見送ると悠馬は『大丈夫か?急に押し込んで悪かったな。』と真海が潜んでいたデスクの椅子をどけたが、その奥にいた彼女の姿を見て固まった。
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