甘い恋をおしえて
「で、でもお義母さんから……なんて言われるか」
莉帆は、佑貴に相応しい相手を見つけると啖呵を切ったのだ。
「もう、あの家のことは考えなくていいんだ」
「え?」
「今は、これから三人で暮らすことだけ考えよう」
「佑貴さん」
たまらなくなって、莉帆は涙をこぼした。
涙にぬれる莉帆の頬に、佑貴の温かい手が触れる。
「宮川の家と縁を切ったら苦労をかけるかもしれない」
「構わないわ。私だって働いているもの。あなただけに苦労させない」
「頼もしい奥さんだな。俺が宮崎に行って仕事を探すのもアリだ」
クシャりと顔を歪めて佑貴が笑った気がする。
彼の笑顔が目の前にある事実に、莉帆は切なくて嬉しくてたまらない。
佑貴の唇が莉帆の耳朶に軽く触れる。それだけで莉帆はピクリと震えてしまう。
「碧仁がそろそろ、帰ってくるかも……」
「ああ」
もう一度、佑貴が莉帆を抱き寄せた。
「ふたりで碧仁を迎えに行こう。近くにいるんだろう?」
「ええ、虫取りだから神社のあたりだと思うわ」
その時、廊下を走る小さな足音が聞こえたと思うと茶室の襖がガラリと開いた。
「ママ! 見て見て!」
虫かごを手に持った碧仁が飛び込んできた。