甘い恋をおしえて


泣いている莉帆と、その側にいる佑貴にキョトンとした顔を向ける。

「ママ、どこか痛いの?」

莉帆と佑貴が抱き合うようによりそっていることは気にならないらしい。
佑貴がさすがに少し離れた。

「ううん、痛いんじゃなくて嬉しいの」

莉帆は思いっきりの笑顔を息子に向ける。

「おじちゃん、誰?」

やっと碧仁は佑貴に気がついたというように尋ねている。

「あ、え~と」
「昨日、東京のお店にいた人?」

「ああそうだよ」

無難な答えを碧仁の方が言ったので、佑貴はホッとした表情だ。
佑貴は、今の状況をどうすべきか迷っているようだ。
莉帆も碧仁にどう話すべきか考えているのだが、焦って考えがまとまらない。

「じゃあ、新幹線に乗った?」

碧仁が無邪気に話しかける。

「ああ」
「ボクも! 飛行機にも乗ったよ!」
「碧仁は乗り物が好きなんだな」
「うん!」

息子に笑顔を向けられて嬉しいのか、佑貴が見たこともないくらいの笑顔だ。

(こんなに笑える人だったんだ)

これから、もっと佑貴のことが知りたいと莉帆は思う。






< 112 / 114 >

この作品をシェア

pagetop