甘い恋をおしえて
その時、来客を告げる接客係の声が聞こえた。
「いらっしゃいませ」
奥にまで、大きな声の英語が聞こえてきた。
店の雰囲気に感動してくれているようだ。
「莉帆、出てくれる? 私よりあなたの方が英語は得意でしょ」
「やだ、お姉さんだってホームページ英語版作ってるくせに」
「私、喋る方はさっぱりだから」
梓に言われて仕方なく莉帆が店に出た。
「ようこそお越しくださいました」
「ステキなお店ですね!」
莉帆が英語で話しかけたら日本語で答えてくれた。
濃いブルネットの髪にやや青味かかった瞳の若い女性だ。カジュアルな服装だから観光客かもしれない。
小柄で愛らしい顔立ちだから、花柄のワンピースが似合いそうだ。
英語と日本語が堪能のようだから日系人だろうか。
まるでさっき姉と話した、莉帆が考えていた佑貴の理想のタイプそのものだ。
莉帆がそんなことを考えている間にも、表情豊かに喋って店を褒めちぎってくれる。
「ありがとうございます。どうぞこちらのお席へ」
パンツスタイルだけどブラウスを合わせているからフェミニンな雰囲気の二十歳くらいの女性だ。
目元を強調したメイクだが、口紅はピンクブラウン。そのバランスのよさが、彼女のお洒落に対する自信をうかがわせる。
「後からもうひとり来ます」
「お連れ様ですね。ご注文はご一緒に伺いましょうか?」
「私、お抹茶がほしいです」
「わかりました」
薄茶を先にお出ししようと、莉帆は奥に下がった。