甘い恋をおしえて



どんなに千紘が取りなしてもダメだった。寿江には孫のことしか頭にない。
結局、佑貴が気に入る女性が現れたら離婚してもいいということで話はまとまった。

その日から、莉帆の花嫁探しが始まった。
それと同時に、丸光銀行からの融資を打ち切られるかもしれないという恐怖との戦いもあった。
これからの香風庵の商売を考えながら、夫に相応しい女性を探すのだ。
姉夫婦だけには正直に話して、力になってもらうことをお願いした。
ふたりとも社交界に顔が広いし情報もたくさん持っている。
最初は驚いていた姉夫婦も、次第に協力的になってきた。
特に佑貴が女性を連れて和カフェに姿を見せた日からは積極的に探してくれている。

(歪な関係)

悲しい気持ちもあるが、莉帆の心は限界に近かったのだ。

佑貴のことは相変わらず好きだ。
その不愛想で、莉帆を嫌っているのを隠しもしないところだって好きだ。

(でも我慢できない。私以外には、あんな笑顔を向けるって知っちゃったから)

キャスと呼ぶ女性と和カフェに姿を見せた時、莉帆は身に染みたのだ。
一日でも早く別れよう。
そうしないと、好きな気持ちが溢れて隠しきれなくなってしまう。
他の人に嫉妬する惨めな妻にだけはなりたくない。
彼を自由にしてあげなければと、莉帆は思っていた。




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