甘い恋をおしえて
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毎年、大晦日には年越しのパーティーが宮川邸で開かれる。
親族一同が集まって、賑やかに過ごすのだ。
結婚してからこの日だけは、莉帆も佑貴と連れ立って参加していた。
親族は白い結婚とは思っていないのだから、仲睦まじい演技をしなければならないのだ。
大晦日のパーティーは、男女ともに思い思いに着飾って食事やお酒を楽しむ会だ。
男性たちの間では仕事の話も出ることはあるが、主に女性陣のための会だからもっぱら話題は私生活についてだ。
莉帆はやっぱりと思いながらパーティーなのに沈んだ気持ちですごしていた。
アウェイというだけでなく、さすがに結婚して三年近いのだ。
子どものことを嫌というほど尋ねられる。
この時ばかりと寿江は子どもを作らないのは莉帆のワガママだとあちこちで話すものだから、親族たちは信じ込んでいる。
スタイルが崩れるとか、まだ夫と恋人気分でいたいからだとか勝手に想像しているのだろう。
(茶番だわ……)
結婚してから一度も夫婦関係はないのだ。
子どもが出来るはずがない。莉帆は大声で叫びたくなる。
そんなに後継ぎがほしいなら、佑貴を問い詰めてほしいと。抱きたくないのに、どうして莉帆と結婚したのかと。
パーティー用にしつらえた応接室とダイニングルームを繋げた広い会場の隅っこで、莉帆はひとり怒りに震えていた。