悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画～それでも王太子を愛してしまいました

タ・タイプ…。

ほっそりとした輪郭にスッと通った鼻梁とその下にある形の良い唇。そして少し彫りの深い切れ長のエメラルドグリーンの瞳にハラリとセンター分けにされた黒髪がかかる。

いやけど！
と心の中で頭をブンブンと振る。

こんな男好きじゃないわ。
絶対にありえないわ。

そう言い聞かせていたら、険しい表情のまま、恐ろしく高速で顔がせまり、一瞬だけ唇が触れた。

その感触にゾクッと背筋が震える。

な、何？

いやだから！

「誓いのキスが終わりましたので、指輪を」

神官が差し出す指輪をお互いがお互いの左手の薬指にはめると結婚の儀式は成立した。

指輪をはめるときははめていた手袋を外しているので、素手がふれあい、それだけでゾクッとまた背筋が震える。

いやー！
そんなはずないのよ！

「これにて、アシュトン・カーリー・ラングレーとオフィーリア・アヴァ・オルブライトは夫婦となります」

パチパチパチ…拍手がまばらに聞こえる中、オフィーリアは必死で葛藤と戦っていた。


わかっていた。

アシュトンは小説の中でもイチ押しの男性キャラだったから。
絶対に見たら好きになるって。

けど、ならないって決めたの！
わたしはイザベルとアシュトンの幸せを祈ってるんだから。

それに、あのアシュトンの怒ってるような苦々しい顔。
どっちにしてもきらわれてるんだから。
絶対に好きにはならない！

ダメなんだからねっ！