悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました
◇
「もうすぐ婚儀が整いそうなの」
王宮に来て2か月が経った頃、オフィーリアはすっかりマーリンと仲良くなり、マーリンと最初から仲が良かったミリタリーと一緒によくお茶会をするようになっている。
「他国に嫁がれるってどういう心境。お姉さま」
マーリンは1年ほどでラングレーの南部に位置するキシュレー王国へ嫁ぐことが決まっている。
南部と同盟を組み、南西部の小国の平定を協力し合っていこうという魂胆だ。
両国とも小国の小競り合いには辟易しているのだ。そこを平定するために軍事力がかなり持っていかれるためその分軍費もかさむ。今は天候も安定しており農作物が豊富にとれているからよいが、飢饉がくると大変なことになる。
だからそのための和平に利用される。それは高位貴族の持って生まれた運命のようなものだ。
ぜいたくな暮らしに見えて、自分一人では何も決める事が許されない窮屈な身分。それが貴族なのだ。
「そうですわね。運命と思って受け入れましたわ」
運命。
そう。
自分にとってはこの世界へ来たことも運命。
もとの世界に今更戻りたいとは思わない。
だけど、自分は仕事でどこまでのし上がれたのか興味はある。
けれど、注意力が欠如していて事故に会ってしまいこちらに来てしまった以上、受け入れるしかない。
運命だから。
ここでどうやって自分の生活を手に入れるか。
それを日々探しながら生きるだけ。
「流されるのが楽なのですわ。マーリン殿下」
「そうなの?」
不思議そうにオフィーリアを見るマーリン。
兄妹とは思えないほど、アシュトンとはかけ離れた顔。
銀糸の髪に紫の瞳。
これはまさに国王陛下の色。
アシュトンの色は王妃殿下のものだ。
だけど、顔立ちはアシュトンは国王陛下と似ているし、マーリン殿下は王妃殿下と似ている。
それぞれちがうところをもらったのだ。
アシュトンとオフィーリアが白い結婚らしいという噂は貴族社会全体に広まっている。
マーリン殿下にとってはいい例ではないわね…。
けれど、マーリン殿下だって、夫となるキシュレー王国の王太子がどういう人物なのかなど全くわからない。
ただ言われた通り嫁ぐだけ。そしてそちらの運命に身を任せる。
「そうね。そうかも。参考になったわ」
少し寂しそうにマーリン殿下は言った。
「お二人ともしんみりしないでくださいませ」
ミリタリーがパンっと手を合わせた。
「明日はお祭りですわよ。楽しみましょう」
「そうだったわ」
夏の終わりにある建国記念祭。
これからの一週間ラングレーはとても賑やかになる。
民はお祭り騒ぎで、王都ラングリアでは貴族たちが連日パーティーを開く。
極めつけは王宮での舞踏会で締めくくられる。
面倒だなとオフィーリアは思った。
明日からは予定がぎっしりと詰まっている。
がんばらないと…。
「もうすぐ婚儀が整いそうなの」
王宮に来て2か月が経った頃、オフィーリアはすっかりマーリンと仲良くなり、マーリンと最初から仲が良かったミリタリーと一緒によくお茶会をするようになっている。
「他国に嫁がれるってどういう心境。お姉さま」
マーリンは1年ほどでラングレーの南部に位置するキシュレー王国へ嫁ぐことが決まっている。
南部と同盟を組み、南西部の小国の平定を協力し合っていこうという魂胆だ。
両国とも小国の小競り合いには辟易しているのだ。そこを平定するために軍事力がかなり持っていかれるためその分軍費もかさむ。今は天候も安定しており農作物が豊富にとれているからよいが、飢饉がくると大変なことになる。
だからそのための和平に利用される。それは高位貴族の持って生まれた運命のようなものだ。
ぜいたくな暮らしに見えて、自分一人では何も決める事が許されない窮屈な身分。それが貴族なのだ。
「そうですわね。運命と思って受け入れましたわ」
運命。
そう。
自分にとってはこの世界へ来たことも運命。
もとの世界に今更戻りたいとは思わない。
だけど、自分は仕事でどこまでのし上がれたのか興味はある。
けれど、注意力が欠如していて事故に会ってしまいこちらに来てしまった以上、受け入れるしかない。
運命だから。
ここでどうやって自分の生活を手に入れるか。
それを日々探しながら生きるだけ。
「流されるのが楽なのですわ。マーリン殿下」
「そうなの?」
不思議そうにオフィーリアを見るマーリン。
兄妹とは思えないほど、アシュトンとはかけ離れた顔。
銀糸の髪に紫の瞳。
これはまさに国王陛下の色。
アシュトンの色は王妃殿下のものだ。
だけど、顔立ちはアシュトンは国王陛下と似ているし、マーリン殿下は王妃殿下と似ている。
それぞれちがうところをもらったのだ。
アシュトンとオフィーリアが白い結婚らしいという噂は貴族社会全体に広まっている。
マーリン殿下にとってはいい例ではないわね…。
けれど、マーリン殿下だって、夫となるキシュレー王国の王太子がどういう人物なのかなど全くわからない。
ただ言われた通り嫁ぐだけ。そしてそちらの運命に身を任せる。
「そうね。そうかも。参考になったわ」
少し寂しそうにマーリン殿下は言った。
「お二人ともしんみりしないでくださいませ」
ミリタリーがパンっと手を合わせた。
「明日はお祭りですわよ。楽しみましょう」
「そうだったわ」
夏の終わりにある建国記念祭。
これからの一週間ラングレーはとても賑やかになる。
民はお祭り騒ぎで、王都ラングリアでは貴族たちが連日パーティーを開く。
極めつけは王宮での舞踏会で締めくくられる。
面倒だなとオフィーリアは思った。
明日からは予定がぎっしりと詰まっている。
がんばらないと…。