悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画～それでも王太子を愛してしまいました

「もしかしてお前は、それを疑っていたのか？だから？」

「え。だって仲良さそうに庭園を散歩されていたではありませんか？」

「散歩？もしかしたら…」

アシュトンは考え込むように眉を顰めた。

「人払いをして、話をしたいと言ったときはいつも庭園で聞くようにしていた。彼女と部屋の中で2人になることは避けたかったからな」

もしかしたら今までもあらぬ誤解を招いていたかもしれないなとアシュトンは頭を抱えて言った。

「殿下とイザベル嬢の噂はわたしが宮殿に入った頃から流れていましたわ。ですからわたしはてっきり…」

それだけではない。
小田あずみとしての記憶はイザベルとアシュトンは両思いで…最後までお互いを想い合っていて…

いや、果たしてそうなのだろうか。
果たしてこの世界は本当に小説の中の世界なのだろうか？
小説の世界なんてものが存在する？
そもそもこの世界の人間はここで生きて生活している。
生身の人間だ。

アシュトンはアシュトンであって…
オフィーリアは自分であって…

「誤解をさせたなら、申し訳ないと謝るしかない。戦争に明け暮れていた俺を助けてくれたイザベルには感謝はしているが…それだけだ。俺が好きな女は…」

アシュトンはオフィーリアの方へ向き、目を合わせた。

「オフィーリア」

「はい」

「きちんと言おう。一から…やり直さないか？」

「え？」

「お前のうわさはラングレーにも轟いていた。だがそれがあてにならないものだったということはすぐにわかった。俺もうわさに踊らされていた。お前もだ」

「アシュトン殿下」

「俺は、色眼鏡抜きでお前を見ていて…女性を初めて…好きだと思った。どうか俺を受け入れてほしい」