悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました
10.特別な日
季節は冬。

イザベルの処刑は先日執行された。

彼女の人生はあっけなく幕を閉じた。

そして刑執行後から、明らかにオフィーリアに対する貴族たちの対応が変わっていることに気づく。

オフィーリア王太子妃殿下がアシュトン王太子殿下の寵愛を得ている。
決して無下にしてはならないと皆が今までとは別の意味で色目を使い、媚を売り始めたのだ。

山のようにお茶会の招待状が来はじめ、夜会では礼儀としてダンスを申し込まれることはあっても色目を使われることはなくなった。

げんきんなものだ。

けれど、オフィーリアは今までどおり、ミリタリーなどマーリンのとりまきたちと仲良く過ごし、そのほかの招待は必要だと思われるものだけ厳選し、参加するようにしていた。


孤児院の事業も再開し、今日は孤児院事業の初訪問を明日に控え、孤児院へのお土産として持っていくクッキーを厨房にて作成中だ。

すっかり仲良くなった厨房の使用人にも手伝ってもらい、型抜きクッキーを作っている。

この作り方も安価で簡単に作れるので孤児院の料理好きな子たちに覚えさせ、バザーなどで販売させてもいいと考えてもいる。
この間の折紙で作った入れ物なども売れないことはない。
孤児院が独自でバザーを開ければ、収入源として孤児院をよくすることも可能だ。

そして、こちらは…。

「妃殿下。こちらも袋詰めすればよいですか?」

「あ。いいえ。それはわたしがやります。あなたたちはこちらをお願い」

このブラウニーは特別なケーキだ。
今日は、特別な日なのだ。
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