お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
「なに、姫様のペットの動物にも『様』付けて呼ばないといけないのか?」
 カルヴァドスは驚いたように言った。
「それは、ラフカディオ様はイエロス・トポスからの贈り物ですし、アイゼンハイム様は、姫が世界で一番に愛していらっしゃると評判ですから」
「まあ、王族のペットと使用人の関係だと、ペットの方が人より上か・・・・・・」
 カルヴァドスは不機嫌そうに言った。
「あ、でも、姫様はお世話をご自分でなさるので、私共はお世話をしたことはございません」
 本当は、二匹がアイリーンとローズマリー以外に体を触らせないからなのだが、カルヴァドスに変な誤解をされたくなかったので、アイリーンは説明した。
「へぇ、他人任せにしないで、あのお姫さん、自分で世話してんのか?」
 カルヴァドスは興味を惹かれたように問い返した。
「はい。ブラッシングに、散歩に、全てご自分でなさいます」
 自分のことを敬語を使って話すのは違和感があったが、アイリーンは自分の印象が悪くならないように説明した。
「そうか。でも、今、王宮は大変なんだろ?」
「え?」
「あのお姫さん、婚約解消したそうじゃないか。何が気に入らなくて婚約解消したんだ? 相手の近衛の隊長、仕事やりずらくて可哀想すぎないか? 二年も婚約してたのに・・・・・・」
 カルヴァドスの言葉に、アイリーンは初めて皆がアイリーンの婚約解消をどのように感じているのかを知った。
「姫様は、パレマキリアのダリウス王子に嫁がなくてはならなくなったと聞いています」
 アイリーンは悩みながらも本当の事を口にした。
「はぁ? なんで? よりにもよってダリウス王子だ?」
「停戦と和平条約の締結のために。それもあって、今は神殿に籠もられているので、私達侍女もお暇を戴くことが出来たんです」
 アイリーンの説明にカルヴァドスの顔が強張った。
< 60 / 317 >

この作品をシェア

pagetop