お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
「お姫様って、お幾つでしたっけ?」
「今年、十八で、やっと成人です」
「じゃあ、二年間、辛かったわけだ・・・・・・」
「手を握って、ダンスの相手をするのが婚約者だと思ってるお子様ですからね」
 ポロリとアルフレッドの本音がこぼれ出た。
「えっ? お子様でも、キスくらいはできたでしょう?」
「いや、それが、キスは家族としかしないって・・・・・・」
「えっ?」
 カルヴァドスの目が点になった。
「かなり、いい雰囲気に何度か持ち込んだんですよ。でもね、キスは家族になってからって。そういわれたら、もうその先なんてないでしょう。で、姫によく似た女性を見つけて契約したんです。でも、晴れて婚約が解消になったので、結婚を申し込もうとしたら『貯まったお金でタリアレーナに留学する』って置き手紙一枚残して姿を消したんです。それっきり、部屋にも帰ってないし。親兄弟はいないって話だったから、絶対にどっかの宿に泊まっているだろうと、腹をくくって探し歩いていたわけです」
 こうすることで、万が一、カルヴァドスがアイリーンを見つけたとき、姫ではなく自分の探している姫によく似たタリアレーナに留学する女性だと誤解してくれるかも知れないと、アルフレッドは考えた。
「へぇ。で、そのお姫様によく似た女性には本気なんですか?」
「もちろんです。婚約の解消が半年後に成立したら結婚するつもりです」
 アルフレッドが本気で結婚したいと言っておけば、カルヴァドスが万が一にも、姫を見つけても、変なことはしないだろうと、アルフレッドは祈るようにして言った。
「あれ? 婚約って、解消になったんじゃないんですか?」
 カルヴァドスは疑問を口にした。
「ええ。姫は、姫巫女ですから、海の女神の前で誓った神聖な婚約を解消するには、半年間、神殿に籠もって許しの祈りを捧げなくてはならないんです。それを海の女神が認め、海が荒れずに半年後に姫が神殿を離れることが出来れば、無事に婚約解消って事になるんです」
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