お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
「朝忙しいところ、済まなかった。ありがとう」
 アルフレッドは言うと、ポケットから銀貨を三枚取りだし女将に手渡した。
「おや、まあ」
 女将は一瞬のうちにご機嫌になった。
「カルヴァドスさんに、どうしてもお礼が言いたいんだ。彼がデロスに戻ってきたら、私に連絡をくれないか?」
「旦那に、ご連絡をですか?」
「ああ、私は、近衛隊長のアルフレッド・ミケーレ・フォン・ブラウン。レザリヤフォード伯爵家の嫡男だ。今度は、是非、屋敷に招待してお礼をしたいと思っている。頼めるか?」
 アルフレッドは言いながら、更に二枚銀貨を取り出した。
「連絡をくれたら、同じ額のお礼をしよう」
「まあ、銀貨十枚も? はい、もちろんです。お屋敷に、ご連絡させていただきます」
 女将の色よい返事に、アルフレッドは念のため、屋敷の住所を書いて女将に渡した。
「ああ、事前に入港予定が分かるようなら、晩餐の支度も出来るし、追加の情報を送ってくれれば、その都度、銀貨二枚のお礼をするよ」
「まあ、旦那様。お任せくださいませ。船の位置なんてものは、意外によくわかる物なんですよ。船乗り同士、誰にどこであったって、良く情報交換するんですよ。カルヴァドスさんのこと、わかり次第、すぐに報告致しますからね。お任せくださいませ!」
 女将は上機嫌で太鼓判を押した。
 アルフレッドは礼を言うと、馬車で王宮を目指した。

☆☆☆

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