お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
「パレマキリアの糞王子が停戦の条件としてデロスの王女との結婚をようきゅうしたらしい。この国の危機的状況にも関わらず、姫さんはどうしても極秘にタリアレーナに行かないといけない理由があるらしい。元婚約者だった、近衛隊長からも話を聞いた。近衛隊長は、行方の分からなくなった王女を走り回って探しているが、必死にそれを隠してた。それは、近衛隊長も協力者だからだ。でも、近衛隊長が用意した船にたどり着く前に、姫さんは俺と出逢って、この船に乗ることになった。だから、大慌てで探して立って訳だ」
「本当に、デロスの王女なのですか?」
 二等航海士が尋ねた。
「ほぼ間違いない。元婚約者が姫さんをなんて呼んでたか聞いてたから、呼んでみたら、元婚約者の名前を呼んで答えたし、姫さんと、近しい者しか知らない白銀の狼と愛犬の愛称も知っていた」
「では、間違いないということですね」
 ガタイの良い男が締めくくった。
「俺は、皆が知っての通り、もう、何年も前から、姫さんに惚れてる。でも、だからって、それを押しつけるつもりはない。それこそ、姫さんは国の平和を守るための大切な体だ。何かあったら、あの糞王子、約束を破るかも知れないからな。お前達に頼みたいのは、他のクルーに姫さんの正体がバレないように、俺が惚れてる姫さんに良く似たデロスの娘で、俺が姫さん呼びしても気にしないように根回しすること。パレマキリアの奴らに、姫さんがこの船に乗ってることを知られないようにすること。それから、姫さんの正体を知っていることを悟られないようにすること。それだけだ」
 カルヴァドスが言い終わると、全員が立ち上がり、深々と一礼した。
 無言で皆が立ち去る中、ドクターだけが部屋に残った。
「まだ、なにかあるのか?」
「はい。じつは、デロスの王太子に関する情報を幾つか・・・・・・」
「数年前から病気だとは聞いていたが、なにか?」
「殿下の病状ですが、王宮に遣える侍医でさえ、診察を許されていないと・・・・・・」
「どう言うことだ?」
「病気の殿下に面会できるのは、陛下と王女のみだとか。王女が王宮の薬草園で育てている薬草を飲ませて治療しているだけて、侍医も病名の診断が付かず、そのまま、もう二年以上、診察もさせてもらえないとのことでございます。それから、国王陛下は、持病の心臓の発作を起こされてから、しばらく寝たきりで、政は全て王女が・・・・・・」
「いつからだ?」
「もう、半年近いと・・・・・・」
 カルヴァドスは茫然とした。
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