エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
紗雪は男性の多くが振り返りそうな綺麗な容姿を持ち、仕事でもキャリアアップを重ねて順調そうだ。
そしてなにより、自分の気持ちに嘘をつかず、行動力もある。
碧にふたりで会いたいと素直に口にし、今は周りの視線などかまわず、診察室の扉をノックし続けていた。
その場にいた誰もが彼女の気迫に圧倒され、声をかけられないほどだった。
紗雪はそれほどまでに、今も碧が好きなのだろうか。
碧は学生時代も今も、紗雪に対してその気はないと言っていたが、これだけ熱心に想いを伝えられれば悪い気はしないはずだ。
さっき目の前に紗雪の姿を認めたときにも、彼女を追い返そうとしないどころか、進んで診察室に招き入れたように見えた。
考えたくはないが、紗雪との再会で碧に気持ちの変化があったのかもしれない。
珠希はどっと落ち込み、うなだれた。
紗雪に敵う気がしないのだ。
気がつけば、待合は閑散としていて数人の患者と看護師がいるだけだ。
碧たちが入っていった診察室の扉は閉じられたまま、開く気配はない。
いったい、碧と紗雪はなにをしているのだろう。
「あっ……」
バッグのポケットに入れていたスマホが鳴り、メッセージの着信を告げている。
碧からかもしれないと、珠希は慌ててスマホを取り出した。
紗雪とはなんでもないと安心させてほしい。
祈るような思いの中メッセージにたどり着き、送信者が碧だと確認する。
「碧さんだ……」
碧の名前に口もとをほころばせたのも束の間、珠希はすっと表情を消した。
【今日も帰れそうにないんだ。戸締まりにはくれぐれも気をつけて】
「……どうして?」
珠希はスマホを無造作に膝の上に置くと、ふたりが入って行った診察室に目を留めた。
淡いベージュの扉には、第5診察室と書かれている。
すぐに目がいくのは、5という数字だ。
患者が間違えないようにとの配慮からだろうが、5だけが強調されかなり大きい。
そしてなにより、自分の気持ちに嘘をつかず、行動力もある。
碧にふたりで会いたいと素直に口にし、今は周りの視線などかまわず、診察室の扉をノックし続けていた。
その場にいた誰もが彼女の気迫に圧倒され、声をかけられないほどだった。
紗雪はそれほどまでに、今も碧が好きなのだろうか。
碧は学生時代も今も、紗雪に対してその気はないと言っていたが、これだけ熱心に想いを伝えられれば悪い気はしないはずだ。
さっき目の前に紗雪の姿を認めたときにも、彼女を追い返そうとしないどころか、進んで診察室に招き入れたように見えた。
考えたくはないが、紗雪との再会で碧に気持ちの変化があったのかもしれない。
珠希はどっと落ち込み、うなだれた。
紗雪に敵う気がしないのだ。
気がつけば、待合は閑散としていて数人の患者と看護師がいるだけだ。
碧たちが入っていった診察室の扉は閉じられたまま、開く気配はない。
いったい、碧と紗雪はなにをしているのだろう。
「あっ……」
バッグのポケットに入れていたスマホが鳴り、メッセージの着信を告げている。
碧からかもしれないと、珠希は慌ててスマホを取り出した。
紗雪とはなんでもないと安心させてほしい。
祈るような思いの中メッセージにたどり着き、送信者が碧だと確認する。
「碧さんだ……」
碧の名前に口もとをほころばせたのも束の間、珠希はすっと表情を消した。
【今日も帰れそうにないんだ。戸締まりにはくれぐれも気をつけて】
「……どうして?」
珠希はスマホを無造作に膝の上に置くと、ふたりが入って行った診察室に目を留めた。
淡いベージュの扉には、第5診察室と書かれている。
すぐに目がいくのは、5という数字だ。
患者が間違えないようにとの配慮からだろうが、5だけが強調されかなり大きい。