エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「珠希のためだよ。今まで男性との付き合いがなかった珠希が、大宮さんみたいに子どもじみたわがままを押し通してばかりの男性に太刀打ちできるわけがない。珠希が結婚したとなれば大宮さんもあきらめるはずだからわざわざ珠希を不安にさせる必要はないし、知らせなくていいだろうって、碧さんが言ってくれたんだよ」
「そんな……だったらうちの会社と宗崎病院の縁を深めたいから碧さんと結婚してほしいって言ったのも嘘? うちの会社、業績が悪いわけじゃないならその必要はないよね」
「……ごめん。まったくの嘘。うちが特定の病院との関係を強化するようなやり方をしないのは知ってるだろ。そうでも言わなきゃ奥手の珠希が見合いをするとは思えなかったからなんだ」
「あ、そういえば。今日大宮さんと顔を合わせたとき、結婚したって言ったらかなり怒って、和合製薬との関係を考え直すって言われてしまって……私のせいで、ごめんなさい」
重要なことを思い出し、珠希は頭を下げる。
「やっぱりそうきたか。まあ、それはそれで仕方ない。最終的に決めるのは先方だけど、もともとそれは織り込み済み。うちは病院ひとつの売り上げで揺らぐような仕事はしてないから大丈夫」
「だったらよかった……」
拓真のすっきりした表情に、珠希の全身から力が抜けていく。
「でも私、今回こそは家族のために頑張れるって……少しは役に立てると思ってたのに」
本当なら自分ではなく拓真が音楽の世界に残り、珠希が父の後を継ぐべきだったのだ。
音楽会の至宝とまで言われた拓真の才能を潰し、好きというだけで才能のない自分が音楽を続けていることに、珠希はいつも引け目を感じていた。
「今回ようやく家の一大事に役に立てると思って。だから私、碧さんと結婚したんだけど。結局、誰の役にも立てていないってこと?」
「違う。役に立つとか立たないっていう話じゃないだろ」
「そんな……だったらうちの会社と宗崎病院の縁を深めたいから碧さんと結婚してほしいって言ったのも嘘? うちの会社、業績が悪いわけじゃないならその必要はないよね」
「……ごめん。まったくの嘘。うちが特定の病院との関係を強化するようなやり方をしないのは知ってるだろ。そうでも言わなきゃ奥手の珠希が見合いをするとは思えなかったからなんだ」
「あ、そういえば。今日大宮さんと顔を合わせたとき、結婚したって言ったらかなり怒って、和合製薬との関係を考え直すって言われてしまって……私のせいで、ごめんなさい」
重要なことを思い出し、珠希は頭を下げる。
「やっぱりそうきたか。まあ、それはそれで仕方ない。最終的に決めるのは先方だけど、もともとそれは織り込み済み。うちは病院ひとつの売り上げで揺らぐような仕事はしてないから大丈夫」
「だったらよかった……」
拓真のすっきりした表情に、珠希の全身から力が抜けていく。
「でも私、今回こそは家族のために頑張れるって……少しは役に立てると思ってたのに」
本当なら自分ではなく拓真が音楽の世界に残り、珠希が父の後を継ぐべきだったのだ。
音楽会の至宝とまで言われた拓真の才能を潰し、好きというだけで才能のない自分が音楽を続けていることに、珠希はいつも引け目を感じていた。
「今回ようやく家の一大事に役に立てると思って。だから私、碧さんと結婚したんだけど。結局、誰の役にも立てていないってこと?」
「違う。役に立つとか立たないっていう話じゃないだろ」