エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
珠希はスマホを両手で握りしめ、大声で叫んだ。
「あ、あの、お兄ちゃん、じゃない、兄がどうして」
珠希はなにをどう理解していいのかわからず、スマホを耳に当てたまま、呆然と立ち尽くす。
和合製薬に入社して以来ピアノから離れていたはずの拓真が、どうして今になってピアノを弾こうとしているのだろう。
昨夜はピアニストになるよりも父のように実直な経営者になりたいと言い切っていた。
そのことだけでもかなりの驚きだったのに、ひと晩経って、さらに大きな衝撃が落とされた。
『あ、珠希おはよう。昨夜はあれからちゃんと眠れた?』
いきなり聞こえた拓真の声に珠希はハッとし、スマホを握り直した。
「お兄ちゃん? ピアノを弾きたいって本当なの?」
『そうなんだ。今朝仕事で白石病院に来たら、告知のポスターを見かけたんだ。珠希の名前があったから一緒に弾こうと思って。俺がピアノで珠希はエレクトーン。高校生の合唱部の参加もあるみたいだし、一緒に演奏したら楽しそうだろ』
「だろって……」
あっけらかんとした拓真の声に、珠希はがっくり肩を落とす。
思えば拓真は昔からこうだった。
自身の思いつきや勢いに周囲を巻き込み実行していくのだ。
王子様のような見た目と人当たりのよさを武器にして、誰をも惹きつけ引っ張っていく。
仕事を始めて結婚しても、それは変わっていないらしい。
「まったく……」
まるで昔に戻ったような感覚に心が弾み、珠希は笑みを漏らした。
『プログラムの変更とかあるみたいだから、今から来てほしいんだけど。なるべく早く頼む。じゃあ、あとで』
「え、お兄ちゃん? 今から来いって、なに? え、切れてるし」
珠希はすでに通話が途切れたスマホを力なく見つめた。
「拓真さんがどうかしたのか?」
振り返ると、スマホを手に碧が怪訝そうな顔で珠希を見ている。
「あ、あの、お兄ちゃん、じゃない、兄がどうして」
珠希はなにをどう理解していいのかわからず、スマホを耳に当てたまま、呆然と立ち尽くす。
和合製薬に入社して以来ピアノから離れていたはずの拓真が、どうして今になってピアノを弾こうとしているのだろう。
昨夜はピアニストになるよりも父のように実直な経営者になりたいと言い切っていた。
そのことだけでもかなりの驚きだったのに、ひと晩経って、さらに大きな衝撃が落とされた。
『あ、珠希おはよう。昨夜はあれからちゃんと眠れた?』
いきなり聞こえた拓真の声に珠希はハッとし、スマホを握り直した。
「お兄ちゃん? ピアノを弾きたいって本当なの?」
『そうなんだ。今朝仕事で白石病院に来たら、告知のポスターを見かけたんだ。珠希の名前があったから一緒に弾こうと思って。俺がピアノで珠希はエレクトーン。高校生の合唱部の参加もあるみたいだし、一緒に演奏したら楽しそうだろ』
「だろって……」
あっけらかんとした拓真の声に、珠希はがっくり肩を落とす。
思えば拓真は昔からこうだった。
自身の思いつきや勢いに周囲を巻き込み実行していくのだ。
王子様のような見た目と人当たりのよさを武器にして、誰をも惹きつけ引っ張っていく。
仕事を始めて結婚しても、それは変わっていないらしい。
「まったく……」
まるで昔に戻ったような感覚に心が弾み、珠希は笑みを漏らした。
『プログラムの変更とかあるみたいだから、今から来てほしいんだけど。なるべく早く頼む。じゃあ、あとで』
「え、お兄ちゃん? 今から来いって、なに? え、切れてるし」
珠希はすでに通話が途切れたスマホを力なく見つめた。
「拓真さんがどうかしたのか?」
振り返ると、スマホを手に碧が怪訝そうな顔で珠希を見ている。