エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「そうだよ。告知のポスターを見ながらあれこれ悩んでたから、ちょっとアドバイスをね。ピアノが超絶得意な製薬会社の次期社長って面白いし、せっかくの腕前なんだから、たまには見せびらかしたら? って言ったらにやりと笑ってたよ」
いたずら好きの子どものように口角を上げた笹原に珠希も同意する。
「笹原先生、兄の性格をよくわかってますね。でも、ありがとうございます。私も当日、兄に負けないように頑張ります」
「いよいよだね。あ、そういえば、珠希さんに預かってるものがあるんだ。宗崎に頼もうかと思ってたんだけど、せっかく会えたし。病棟まで僕と一緒に来てもらえる? あ、ナンパじゃないから安心してね。宗崎に睨まれるのは、もうこりごりだよ」
大げさに顔をしかめる笹原に、珠希はこらえきれず大声で笑った。
笹原のあとに続いてエレベーターに乗り込んだものの、珠希はひどく緊張していた。
祖父が亡くなって以来白石病院に来ることさえ避けていたのに、脳外科病棟という祖父が亡くなったその場に足を踏み入れたときに、自分が平気でいられるのか自信がないのだ。
改築を経て、病院全体の雰囲気は大きく変わっているが、病棟の中がどうなっているのかわからず、不安でたまらない。
珠希は階数表示を睨み付け、深呼吸を繰り返す。
「脳外科は、五年前と同じ八階西病棟なんだよ。あ、宗崎から聞いてるかな」
「いいえ、とくに聞いてません」
笹原の言葉に珠希は絶望的な気持ちになる。
「大丈夫だよ」
「……はい」
励ましの言葉をかけられ、笹原が珠希の緊張を察しているのだと気づく。医師としての経験値の高さかもしれない。
珠希はわずかに気持ちが落ち着くのを感じた。
「大丈夫だから」
「はい」
まだ自信はないが、笹原に心配はかけられないと、珠希はぐっと手を握りしめた。
いたずら好きの子どものように口角を上げた笹原に珠希も同意する。
「笹原先生、兄の性格をよくわかってますね。でも、ありがとうございます。私も当日、兄に負けないように頑張ります」
「いよいよだね。あ、そういえば、珠希さんに預かってるものがあるんだ。宗崎に頼もうかと思ってたんだけど、せっかく会えたし。病棟まで僕と一緒に来てもらえる? あ、ナンパじゃないから安心してね。宗崎に睨まれるのは、もうこりごりだよ」
大げさに顔をしかめる笹原に、珠希はこらえきれず大声で笑った。
笹原のあとに続いてエレベーターに乗り込んだものの、珠希はひどく緊張していた。
祖父が亡くなって以来白石病院に来ることさえ避けていたのに、脳外科病棟という祖父が亡くなったその場に足を踏み入れたときに、自分が平気でいられるのか自信がないのだ。
改築を経て、病院全体の雰囲気は大きく変わっているが、病棟の中がどうなっているのかわからず、不安でたまらない。
珠希は階数表示を睨み付け、深呼吸を繰り返す。
「脳外科は、五年前と同じ八階西病棟なんだよ。あ、宗崎から聞いてるかな」
「いいえ、とくに聞いてません」
笹原の言葉に珠希は絶望的な気持ちになる。
「大丈夫だよ」
「……はい」
励ましの言葉をかけられ、笹原が珠希の緊張を察しているのだと気づく。医師としての経験値の高さかもしれない。
珠希はわずかに気持ちが落ち着くのを感じた。
「大丈夫だから」
「はい」
まだ自信はないが、笹原に心配はかけられないと、珠希はぐっと手を握りしめた。