エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
だとすれば、この間外来に現われたのは、碧を追いかけてきたわけではないのだろうか。
珠希は思いがけない展開に頭を悩ませる。
「じゃあ、行こうか。実は遥香ちゃんからの手紙でね、ナースステーションに預けてあるんだよ。今日の午前中、退院する前に珠希さんにって持ってきてくれたんだ」
「あ、遥香ちゃん、無事に退院できたんですね。良かったです。私も気になってて……え? あの、今なにか聞こえませんでしたか?」
「なにか? いや、僕にはなにも?」
「気のせいかな……あ、でも、またなにか」
珠希は足を止め、声がした方に耳を澄ませた。
するとそのとき、叫び声のような甲高い声が病棟内に響き渡った。
「私なにも聞いてません。昨日までこの点滴は使ってませんでしたよね」
「笹原先生?」
「ああ、大丈夫だよ」
驚く珠希を安心させるように笹原は笑顔を見せる。
「珠希さん、悪い。ナースステーションで待っててくれるかな? ちょっと話してくるね」
「は、はい」
笹原は珠希の返事を待たず、声が聞こえたと思われる病室へ足早に向かった。
そこはたった今紗雪が入っていった、ナースステーションの真ん前の病室だ。
ナースの目が届きやすい場所であり、出入り口の引き戸が開放されている。
もしかしたら、入院患者の容態が思わしくないのかもしれない。
祖父もそうだったと、珠希は思い出した。
「父の治療についてはすべて教えてくださいって言いましたよね。父がなにも言えないからって薬漬けにするなんてひどすぎます」
再度大きな声が部屋の中から聞こえ、ナースステーションの脇にいた珠希は、そっと振り返る。
するとばたばたと足音が聞こえ、白衣姿の男性が紗雪がいる病室に入っていった。
「碧さん」
今病室に入っていったのは、碧だった。
同時に年配の女性らしき声が聞こえてきた。
珠希は思いがけない展開に頭を悩ませる。
「じゃあ、行こうか。実は遥香ちゃんからの手紙でね、ナースステーションに預けてあるんだよ。今日の午前中、退院する前に珠希さんにって持ってきてくれたんだ」
「あ、遥香ちゃん、無事に退院できたんですね。良かったです。私も気になってて……え? あの、今なにか聞こえませんでしたか?」
「なにか? いや、僕にはなにも?」
「気のせいかな……あ、でも、またなにか」
珠希は足を止め、声がした方に耳を澄ませた。
するとそのとき、叫び声のような甲高い声が病棟内に響き渡った。
「私なにも聞いてません。昨日までこの点滴は使ってませんでしたよね」
「笹原先生?」
「ああ、大丈夫だよ」
驚く珠希を安心させるように笹原は笑顔を見せる。
「珠希さん、悪い。ナースステーションで待っててくれるかな? ちょっと話してくるね」
「は、はい」
笹原は珠希の返事を待たず、声が聞こえたと思われる病室へ足早に向かった。
そこはたった今紗雪が入っていった、ナースステーションの真ん前の病室だ。
ナースの目が届きやすい場所であり、出入り口の引き戸が開放されている。
もしかしたら、入院患者の容態が思わしくないのかもしれない。
祖父もそうだったと、珠希は思い出した。
「父の治療についてはすべて教えてくださいって言いましたよね。父がなにも言えないからって薬漬けにするなんてひどすぎます」
再度大きな声が部屋の中から聞こえ、ナースステーションの脇にいた珠希は、そっと振り返る。
するとばたばたと足音が聞こえ、白衣姿の男性が紗雪がいる病室に入っていった。
「碧さん」
今病室に入っていったのは、碧だった。
同時に年配の女性らしき声が聞こえてきた。