エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
碧と並んでも引けを取らない彼女の美しい面差しが頭に浮かび、珠希の心が騒ぎ始める。
碧との関係が気になって仕方がない。
「ごめん。いつもスマホに振り回されてるな」
メッセージに返事を送っていた碧が、申し訳なさそうに軽く頭を下げる。
「あの、今のは……」
「ああ、病院からじゃないから大丈夫」
ちらりと見えた碧のスマホの画面は真っ黒だ。
どんなやり取りがあったのかと、珠希は思いをめぐらせる。
碧はメッセージが届いた瞬間こそ驚いていたが、すぐに表情を整え返事を送っていた。
これが初めてではないような落ち着いたやり取りが、珠希は気になって仕方がない。
ついさっきまで勘の良さを褒められ浮き立っていた気持ちが、急速に沈んでいくのを感じる。
「珠希、ちょっといいか?」
名前を呼ばれ顔を向けると、碧がスマホを眺めながら、珠希を手招いていた。
「なんですか?」
珠希の問いにも碧はスマホから目を離そうとしない。
いったいなにをしているのかわからず、珠希は首をひねる。
そして向かいに座る碧の隣りに移動し、腰を下ろした。
「これ、見てほしいんだけど」
碧は画面を上にして、スマホを珠希の目の前に差し出した。
「え、見ていいんですか?」
「いいよ。これを見たら、俺がどうして珠希と結婚したいのかわかってもらえると思う」
「えっ、結婚?」
珠希は慌てた。
その話ならケリがついたはずで、碧も珠希との結婚はあきらめたとばかり思っていた。
「これ、見て」
混乱している珠希の目の前に、碧はさらにスマホを近づける。
いったいどういうことだろうと、珠希はおずおずとスマホを覗きこんだ。
「履歴? これって着信履歴ですか?」
碧のスマホの画面には、電話番号や日付がズラリと並んでいる。それも発信元はすべて同じ名前。〝如月紗雪〟その名前が画面一面を占めていた。
「きさらぎ……さゆき。って、この間お店の前で会った人ですよね」
碧との関係が気になって仕方がない。
「ごめん。いつもスマホに振り回されてるな」
メッセージに返事を送っていた碧が、申し訳なさそうに軽く頭を下げる。
「あの、今のは……」
「ああ、病院からじゃないから大丈夫」
ちらりと見えた碧のスマホの画面は真っ黒だ。
どんなやり取りがあったのかと、珠希は思いをめぐらせる。
碧はメッセージが届いた瞬間こそ驚いていたが、すぐに表情を整え返事を送っていた。
これが初めてではないような落ち着いたやり取りが、珠希は気になって仕方がない。
ついさっきまで勘の良さを褒められ浮き立っていた気持ちが、急速に沈んでいくのを感じる。
「珠希、ちょっといいか?」
名前を呼ばれ顔を向けると、碧がスマホを眺めながら、珠希を手招いていた。
「なんですか?」
珠希の問いにも碧はスマホから目を離そうとしない。
いったいなにをしているのかわからず、珠希は首をひねる。
そして向かいに座る碧の隣りに移動し、腰を下ろした。
「これ、見てほしいんだけど」
碧は画面を上にして、スマホを珠希の目の前に差し出した。
「え、見ていいんですか?」
「いいよ。これを見たら、俺がどうして珠希と結婚したいのかわかってもらえると思う」
「えっ、結婚?」
珠希は慌てた。
その話ならケリがついたはずで、碧も珠希との結婚はあきらめたとばかり思っていた。
「これ、見て」
混乱している珠希の目の前に、碧はさらにスマホを近づける。
いったいどういうことだろうと、珠希はおずおずとスマホを覗きこんだ。
「履歴? これって着信履歴ですか?」
碧のスマホの画面には、電話番号や日付がズラリと並んでいる。それも発信元はすべて同じ名前。〝如月紗雪〟その名前が画面一面を占めていた。
「きさらぎ……さゆき。って、この間お店の前で会った人ですよね」