冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

 リビングのドアを開けるとすき焼きの甘辛い匂いがふわっと鼻腔を刺激する。匂いのせいでお腹の虫も刺激されたようだ。ぐぅ〜っと小さく腹の虫が鳴った。


「わぁ〜いい匂い。お腹すいた! 優ちゃんありがとう」


 凛子も優とは何もなかったかのように座布団の上に座りお箸を持った。


「いいんだよ。俺も肉が食べられて一石二鳥なんだから」
「ははっ、そっか。ならいいね。じゃあいただきまーす」


 まずは生卵も何もつけずにお肉だけで。ふるふると脂がのった綺麗なお肉を口の中に凛子はダイブさせた。


「んぅぅ〜、とろけるぅ〜。優ちゃんも早く食べてみて。とろけるよ」
「あぁ。じゃあ頂こうかな。……うん、凛子の言う通りとろけるな」
「もう凛子ったら、優くんより先に食べて! ってことでかんぱーい」


 プッシュっと開けた缶ビールのいい音に、グビグビプハーとビールのCMのような飲み方でご機嫌な母親は一口飲んだだけで頬を赤く染めている。


「もう。お母さんったらお酒弱いんだから程々にしなよ」


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