冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

 凛子は母親に注意しながらもお肉を食べることだけは止めない。美味しい、美味しいと三人で食べていたらあっという間にお肉も野菜もなくなってしまい、母親は満腹とお酒の力でいつの間にかテーブルに突っ伏しながら寝てしまっていた。


「だから程々にしなって言ったのに。お母さんったら。これなかなか起きないやつだよ絶対」
「だな。凛子ママ一回寝るとなかなか起きないもんな。寝室に運んであげよう。凛子も手伝って」
「あっ、うん」


 手伝ってと言う割に優は軽々と母親を持ち上げ、お姫様抱っこで寝室まで運んだ。羨ましいなぁ、と思いつつ凛子が急いで敷いた布団の上に優は母親をそっとおろした。


「凛子、シーだよ」


 優が人差し指を凛子の口元に当てる。ちょんと触れた指先にドクンと凛子の心臓が高鳴った。ほんの少し、自分に優が触れてくれることが嬉しい。けれど優は凛子の唇に自分の指が軽く触れたとしても何も気にしていない。今度はズキッと心臓が痛む。


「わかってるよ」


 凛子は唇を尖らせながら小声で頷いた。
 凛子と優は起きないとわかっていても抜き足忍び足で寝室から抜け出す。

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