冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い
「凛子、俺が今日家に来た理由が就職祝いだけじゃないってわかってるよな?」
優は視線を少しもずらすことなく、真っ直ぐに凛子を見る。嘘なんてすぐに見破られてしまう鋭い眼光に囚われた凛子はボソッと呟いた。
「わかってます……」
「じゃあ、昨日のこともそうだし、今朝の態度だってなんだ?」
「そ、それは……」
凛子は膝の上に両手をのせ、モジモジと指を組んだ。
自分は優のことが男として大好きで、お見合いしていることも知らなかったし、優がイケメンでモテるせいで昔からよく悪口言われて、今日も言われました。
(なんて言えるかー!)
「昨日のはちょっと初めての職場で緊張っしちゃってたのと、朝は、本当に急いでたんだよ。昨日は本当にごめんね。なんかちょっと混乱してたみたい。今はもう大丈夫だから」
大真面目な顔で堂々と凛子は嘘をついた。そのくらいしなければ優には秒殺の速さで嘘がバレてしまう。
「本当か?」
優はまるで裁判官のように凛子に問いただす。
「ほ、本当です」
ジィーっと優に見つめられ、嘘です、と喉まで出かかりそうになるのを凛子は必死で飲み込んだ。
「ほ、ほら優ちゃん。タクシー呼ぶから外に行こう」
凛子は嘘をつくのが苦手だ。これ以上一緒にいたらボロがでそうになるので優を早く帰るように促した。