Liars or Lovers 〜嘘つき女と嘘つき男〜
「なのに、美羽さんは違った。真っ直ぐで、優しくて、すぐ真っ赤になる。可愛いって思った」
彼は目元を拭わずに、続けて言った。
「え……?」
そう漏らすと、その口元はかすかに弧を描いて、けれどすぐに歪んでしまう。
「本当だよ? でも、なかなかなびかないから、イライラもした。早く落ちろって、思った。酒飲んで、酔っ払わせればヤれると思った。結果的に、自滅したけど」
「お酒、弱かったもんね」
「それもあるけど。でも、原因は美羽さんの元カレの話。あれ聞いて、母親の姿思い出した。俺と同じだって思ったら、なんかその男にすんごいムカついた。美羽さんは、すごい傷付いたんだって直感的に分かったから……」
何も言えないでいると、もう一度「本当だよ?」と声が返ってきた。
「美羽さんを守りたいって思った。けど、そんな気持ち初めてで、戸惑って、きっとお酒のせいだって思って……それで、俺、いつもどおりにならなきゃって、美羽さんにあんなこと……」
いつの間にかまた地面に目線を戻していた彼。ポロポロと、小さな涙が溢れていた。
「美羽さんは、俺に恋してくれた。なのに、俺……自分の気持ちが怖くて、嫌なことして、美羽さんの心の傷、抉った」
「サイテーだね」
独り言のように呟いたけれど、彼ははっと顔を上げた。
そして、私に「ごめんなさい」ともう一度言った。
「私にじゃないよ。君と寝た、全ての女の子に。少なくとも、君に好意を抱いてセックスした子はいると思う」
私はテラスの前の通りに目を向けた。
街頭に照らされたそこには、誰もいない。
「そんな子も“バカな女”って切り捨てたんでしょ? サイテーだね、君は。私は、まだ君に抱かれなかっただけマシだ」
彼は黙ってしまった。
ストローから、抹茶ラテをすする音だけが聞こえる。
「君が私に抱いた感情だって、きっとそれは同情だよ。同じような光景を目にしてしまった仲間意識、みたいな。同じような気持ちを抱いてしまった被害者同士、みたいな。私はそんな君とどうこうなろうなんて思わな――」
突然、バキバキっとプラスチックのカップが壊れるような音がして、はっとした。
彼が、飲み干した抹茶ラテのカップを握りしめていた。
彼は目元を拭わずに、続けて言った。
「え……?」
そう漏らすと、その口元はかすかに弧を描いて、けれどすぐに歪んでしまう。
「本当だよ? でも、なかなかなびかないから、イライラもした。早く落ちろって、思った。酒飲んで、酔っ払わせればヤれると思った。結果的に、自滅したけど」
「お酒、弱かったもんね」
「それもあるけど。でも、原因は美羽さんの元カレの話。あれ聞いて、母親の姿思い出した。俺と同じだって思ったら、なんかその男にすんごいムカついた。美羽さんは、すごい傷付いたんだって直感的に分かったから……」
何も言えないでいると、もう一度「本当だよ?」と声が返ってきた。
「美羽さんを守りたいって思った。けど、そんな気持ち初めてで、戸惑って、きっとお酒のせいだって思って……それで、俺、いつもどおりにならなきゃって、美羽さんにあんなこと……」
いつの間にかまた地面に目線を戻していた彼。ポロポロと、小さな涙が溢れていた。
「美羽さんは、俺に恋してくれた。なのに、俺……自分の気持ちが怖くて、嫌なことして、美羽さんの心の傷、抉った」
「サイテーだね」
独り言のように呟いたけれど、彼ははっと顔を上げた。
そして、私に「ごめんなさい」ともう一度言った。
「私にじゃないよ。君と寝た、全ての女の子に。少なくとも、君に好意を抱いてセックスした子はいると思う」
私はテラスの前の通りに目を向けた。
街頭に照らされたそこには、誰もいない。
「そんな子も“バカな女”って切り捨てたんでしょ? サイテーだね、君は。私は、まだ君に抱かれなかっただけマシだ」
彼は黙ってしまった。
ストローから、抹茶ラテをすする音だけが聞こえる。
「君が私に抱いた感情だって、きっとそれは同情だよ。同じような光景を目にしてしまった仲間意識、みたいな。同じような気持ちを抱いてしまった被害者同士、みたいな。私はそんな君とどうこうなろうなんて思わな――」
突然、バキバキっとプラスチックのカップが壊れるような音がして、はっとした。
彼が、飲み干した抹茶ラテのカップを握りしめていた。