悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
(お母様が僕を助けてくれたんだ……!)

もう後戻りが出来ない。
フローレス侯爵と夫人がトリニティを溺愛しているのは有名な話だ。
上手くやっていくためには、まずトリニティに受け入れてもらう事が重要だと考えたのだ。
トリニティに嫌われたら、コンラッドは再びあの地獄のような場所に戻されるかもしれない。
どうにかして仲良くしたかった。
でないと自分の居場所が無くなってしまう。
(もう一人は嫌だ……!)
そんな時、トリニティが低い声で呟いた。

「…………もう我慢出来ないわ」
「っ……!」

反射的に、拒絶されてしまうと思った。
目元がグッと熱くなっていく。

「コンラッド、わたくしは貴方を……ッ!」

トリニティはワナワナと体を震わせて、顔を手のひらで覆っている。
唇を噛んで何かに耐えているのを見ると、やはり一緒に居るのが我慢出来ないという事だろうか。
それとも『弟』として受け入れるのは無理だと言われてしまうのだろうか。
フローレス侯爵家を追い出されてしまうのではないか、その不安で頭が一杯だった。
涙が溢れそうになるのを必死で耐えていた。
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