悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
ケリーと呼ばれた侍女から危ないオーラを感じたコンラッドはサッと目を逸らした。
今までの侍女達から感じたことのない雰囲気と言葉遣いに脳がついていけなかったのだ。

「そんなことよりもケリー、見てよ! コンラッドって肌がぷにぷになの! それに、すっごい美少年よ! ここの髪をもう少し整えてね! あぁ……思いきり甘やかしてあげたいわ。わたくしを甘やかすお父様とお母様の気持ちが今ならよく分かる。すっごく可愛いもの!」
「えー! それは素敵ですね! ケリーも大賛成です」
「でっしょう!? なんでこんなに可愛いのかしら? もう一目見た時から、わたくしの心を撃ち抜いたわ。こんな弟がずっとずーっと欲しかったのよ! 妹も素敵だけど、弟もやっぱり可愛いわよね」
「本当ですね~! あ、お嬢様のドレスをお揃いで着てみるのなんてどうですかぁ?」
「最高よ、ケリー。そんなの絶対可愛いじゃない! コンラッドも仲良くして欲しいって言っていたし、宜しくね!」
「ウフフ~! ケリー、頑張っちゃいます!!」
「……よ、よっ宜しく、お願いします」

トリニティに手を引かれるまま歩き出す。
ご機嫌な鼻歌まで聞こえてくる。
どうやら嫌われてはいないようだが、よくわからない身の危険を感じて身震いしていた。
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