【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


 思い出したら、また泣きそうになっていく。

「苦しくて……心も身体も痛かった……。千歳が真嶋さんの所に行っちゃったらどうしようとか、なにかあったらどうしようとか……そんなことばっかり考えてた」

「……ん、そっか」

 優しい千歳の表情に、段々と涙が止まらなくなる。

「でもね、私は……私は千歳のことを信じるって決めたのに、信じることが怖くなった。 不安で不安でたまらなくて……辛かった」

 恋をするってこんなにもどかしくて、こんなに大変なんだって分かって、どうにも出来なくなった。

「……なんでこんなに泣きたくなるのか分からなったけど、それは心の底から千歳のことを愛してるからなんだって、気付いたの」

「桃子……俺もごめん。桃子を悲しませたくないって思ったのに、悲しませちまった」

 違う。千歳のことを信じられなかったのは、この私だ。……私は妻失格だ。
 妻として信じるべきだったのに、それが出来なかった。 千歳のせいにして、逃げようとした。

「千歳……ごめんね。愛してるからね」

 心の底から愛してるって思った。離れたくないって本気で思えた人は、千歳だけだ。

「ようやく、素直になってくれたんだな」

「……うるさいよ」
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